東京03は面白いし、すべらない。けど他人に「好き」と言いにくい
そこそこお笑いが好きなら「東京03」というお笑いトリオを知っていると思います。
2009年のキングオブコントで圧勝し、その年のオールスター感謝祭で島田紳助との事件が勃発し、何かと話題になったコンビです。
バラエティ番組だと「ゴッドタン」の「マジ歌」でよく見かけますが、大きなレギュラーなどは持っていないようです。
東京03のコントは「すべらない」
多くの芸人のコントは単純に「笑い」を起こすためのものですが、東京03のコントは結果的に「笑い」を起こすためのものです。
東京03のコントの特長として「リアリティ」「構成力」「演技力」といったものがあります。
僕が東京03を好きになったキッカケのコントがこの「誘ってるの?」というものなんですが、これには明確なボケが存在しません。
ツッコミは幾つかありますけど、日常に起きてしまう気まずさを切り取って、結果として笑いが生まれるっていうような構成です。
「コント」なんですが「笑える演劇」という言い方が近いかもしれません。
だから見ている最中、明確に「これがボケ、これがツッコミ」っていう意識が働きにくくなっていて、それが「笑いどころの指定」をぼかしている。
ボケとツッコミで1セットやって、笑いが起きなかったら「すべった」ってことになりますけど、笑いどころを指定しなければそもそも「すべらない」わけです。
要するに、東京03のコントは、かなりすべりにくくできています。
面白いとは違う「すべらない」という状況
「人志松本のすべらない話」などで誤解がある人もいるかもしれませんが、すべらないというのは「寒い空気にしない」ということを指します。
隠語として「面白い」という意味もあるように思いますが、正式には「すべる」の否定形です。
「すべる」という状況は笑いを取りにいかない限り、起きません。
ところが、笑いを取りに行くと急に「すべる」ということが頻繁に起きます。一流のお笑い芸人がつくったコントや漫才であっても、「すべる」ということはあります。
コントや漫才の中で起きてしまうのは仕方ありませんが、マイナスの感情を起こすものなので、できる限り排除してほしいものではあります。
僕は笑いが大好きです。笑える笑いが大好きなのであって、笑えない笑いは嫌いです。
そう考えると、東京03のコントのように「すべりにくい」というのは重要です。
東京03のコントで「すべってる」と感じる場面があるのであれば、おそらく角田さんの過剰な感情表現ぐらいではないでしょうか。ちなみに僕は好きです。
東京03を好きって言うと気取ってる感でる
すべりにくいだけじゃなくて面白いんですよ、東京03って。
ただ「好きな芸人」を聞かれたとき、真っ先に挙げたくはないイメージがあります。
すごく勝手なイメージですけど、東京03を真っ先に好きな芸人にあげるのって「お笑い詳しい気取りのニワカ」っぽさがあるんですよ。
めっちゃ面白いんです。
たぶん、それはかなり多くの人が認めているところだと思います。
僕もここ数日、U-NEXTの試用期間に登録して、東京03の単独ライブの映像見まくってるぐらいは好きです。
すでに6回分(計10時間分)ほど見ましたけど、よくあれだけすべらずに色々なパターン生み出せるなと感心しきりです。
「卑屈」「器の小ささ」感もでる
あと、人の卑屈な感情や、器の小さい感覚に対する共感が生まれるのも、好きな芸人として真っ先に名前を挙げたくない理由かもしれません。
先ほど紹介した「誘った?」というものも、めっちゃ分かるんですよ。誘われてんのか分からないという状況を経験したことがあるので。
他にも「めっちゃ分かる卑屈な感情」とか「めっちゃ分かる器の小ささ」とか、東京03のコントには変な人がでてくるけど、その源泉は普通の人の中にあるものなんです。
だから結果として「好き」とは言いにくい。
僕の卑屈なところを受け入れてくれる人には言えるんですけど、そうでない人には「なんで好きなのか」まで含めて話すと言いにくいわけです。
ついでに先述した「お笑いの通ぶってる感じ」が漂うので、とても言いにくい。
ただ、ラーメンズよりは言いやすいと思います。