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サプリ通販大手「えがお」の景表法違反から見る、違反への対応の謎

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僕は前職での仕事柄、薬事法や景表法といったものとよく関わってきました。

その中で長らく謎だったことがあります。

それは「どうやって違反への対応をしているのか」ということ。

サプリ通販大手「えがお」の例

今回ニュースになっていたのは「えがお」というサプリ通販大手の会社です。

対象商品は「えがおの黒酢」で、対象期間は2013年3月19日~2014年9月30日、2014年5月22日~2015年5月30日とのこと。

紹介記事によれば、黒酢に痩身効果があると誤認されるような広告表現を用いたとされています。

  • 不足していたのはメラメラ力だったんですね…
  • タンスの奥のジーンズが出せた!
  • 運動量は変わらないのに遂に出産前のスタイルに!
  • えがおの黒酢であっという間の目標達成!その仕組みとは?
  • たとえば、脂肪1kg(約700kcal)を燃やすにはこんな運動&食事制限が必要なんです

(引用元:通販売上250億円超のえがおが景表法違反、「飲むだけで痩せる」黒酢サプリに根拠なし | Web担当者Forum

確かに誤認されるような書き方と言えますが、実際にはこれぐらいの書き方をしているところは山ほどあります。

パッと見ただけで「これアウトですよ」っていうサイトは、本当にたくさんあるんです。

その中で、なぜ「えがお」だけが違反の対象となり、再発防止などを求める措置命令が出されてしまったのか。

景表法や薬事法に違反しているサイトが野放しになっていることもありますし、それが大手のサイトだっていうこともあります。

じゃあ実際に通報してみよう、って思って通報したことがあります。

試しに通報してみた話

対象にしたのは大手サプリ系通販会社のサイトで、連絡したのは東京都福祉保健局です。

健康食品に関する医薬品医療機器等法上の問い合わせ先 東京都福祉保健局

長いこと「どう見てもアウト」だと思っていたので、通報された後どうなるのかっていうのを見てみたかったんです。

正確には「違反に対して役所がどれぐらい動くのか」というのを知りたかった。

最初は通報という形ではなく「こういうサイト構成は薬事法的にOKですか?」という、サイト運営者としての相談という形で入ってみました。

実際にその大手がやっているようなサイト構成が法律的にセーフなのであれば、多くの業者やサイトで使える「抜け道」的な運用が可能ということになります。

ただ、担当者の答えは「実際に見てみないと分からない」の一点張りでした。薬事や景表法は微妙な表現でアウトかセーフか分かれるので、電話口で概要を説明しただけで何とも言いにくいというのは分かります。

とはいえ「優良誤認させることが禁じられている」のは確かなことです。

「実際に確認しないと判断はつかないが、消費者が優良誤認する表現を使うことは避けてください」というのが担当者の言い分です。

要するに薬事法やら景表法やらは、際どいラインを攻めたいのであれば役所に行って確認してもらうことが求められるわけです。

で、表現として適切かどうかを見てもらってOKを貰うわけです。

そのまま特定のサイトを通報してみた

明確な答えが得られなかったので、ひとまず最初の予定通り通報してみました。

「○○という企業の、○○というサイトで、これこれこういう優良誤認される書き方がしてある」

すると「所在地はどこですか?」と聞かれるんですね。

連絡したのは東京都福祉保健局ですが、通報した企業は東京ではありませんでした。

「そちらの福祉保健局に連絡してください」と、投げ捨てられました。

これちゃんと動かないやつだ、と思って少しだけ後追いしてみました。


Q.何か違反があって、その通報を受けたのに、あなた(東京都福祉保健局)が動くことは無いんですか?
A.そうです。

Q.僕が改めて別の福祉保健局に連絡しないと、この件はうやむやになるんですよね。
A.そうです。

Q.要するに、違反があるという通報は無かったことになってしまうわけですね。
A.そうです。


その後、改めて所在地がある方にも電話しようかと思ったんですが、闇の力が怖くなってきたのと、その大手サプリ系通販会社に恨みがあるワケではないので後追いはしていません。

ちなみに通報してみたサイトは、今も「絶対アウトだろコレ」っていう状態のまま存在しています。

厳格に規制する気はまったくない

通報してみて分かったこととして、役所は厳格に規制をする気はまったくありません。

規制は都道府県ごと(?)の福祉保健局的なところが担当しています。

他の都道府県だと分かりませんが、東京都福祉保健局は企業からの相談も受け付けていて、実際に訪問してチェックしてもらうことも可能です。

要するにチェックするところと、行政処分などを行うところが同じなわけです。

結果として僕が思う「違い」は、担当者との関係性でしょうか。

気に入られたらセーフで、不興をかえばアウトになることもあるでしょう。

あくまでも微妙な表現が対象となるので、難癖つけようと思えばいくらでも付けられますし、こういった方法ならセーフだと言い張ることもできる。

「えがお」は、その辺の対処法がうまくなかったんじゃないでしょうか。

逆にセーフ扱いのところは、その辺がうまいんじゃないですかね。

というのが僕の印象です。

※ちなみに実態ではなく、勝手な想像です。