マーケティングは驚くほど身近。誰でも知っている成功例
マーケティングという横文字を見ると「遠い世界の話」のように感じられる人もいますが、マーケティングというのは驚くほど身近にあります。
何となく周りに合わせて行っていたりすることや、当然のように行っていることが、実は遠い昔に行われたマーケティングの成果だったりするのです。知ってみるとマーケティングの世界って面白いんですよ。
一年の始まり「初詣」もマーケティングが発端
みんな当たり前に行っていて、ずーっと昔からあると認識されがちな「初詣」も、実は明治時代中期にできたものです。
このマーケティングを仕掛けたのは神社ではなく、なんと電鉄会社。鉄道の普及によってさまざまな場所に行けるようになった頃、自宅から恵方の神社に行くことを電鉄会社が宣伝するようになりました。
結果として多くの人が自宅から恵方の神社や、大きな神社に初詣に行くようになったそうです。正月から鉄道員は大変だなーと思っていたものの、かなり古い先輩たちが始めたイベントで忙しかったわけですね。
今年は「南南東」だった恵方巻き
元々、東京では節分に恵方巻きを食べるという文化はありませんでした。それが今から15〜20年前、唐突に「西日本では恵方巻きを食べる」という文化が殴りこみをかけてきたわけです。
それ以来、あれよあれよという間に「節分に恵方巻きを食べる」という文化が根づいていきました。身近な人に話を聞くと意外と恵方巻きを食べています。
これも海苔業界と流通小売業界が仕掛けたマーケティングです。
ちなみに「豆を投げる」という文化がマーケティングによるものかどうかは分かりませんが、こちらは中国から伝わってきた文化のようです。
バレンタインデーにチョコレート
モテない男性諸兄はもちろん、そうでない人にも広く知られている「バレンタインデーはそもそもチョコを贈るイベントじゃない」という話。
これは僕らの数世代前が青春時代を送っていた1936年にまで話が遡るマーケティング戦略です。
とはいえ「バレンタインにチョコレート」という文化が浸透して、広く一般に受け入れられるようになったのは70年代のこと。実に30年以上の時間をかけて成功を収めたマーケティングです。
現在では「バレンタイン=チョコ」という図式が成り立っていますが、これは地道なマーケティングが無ければ成功しなかったものです。
ちなみに元々は禁令に背いて恋人たちの結婚式を執り行っていた「聖ウァレンティヌス」という聖職者が処刑された日です。そのため世界的にも「恋人たちの日」ではあります。
バレンタインから生まれたホワイトデー
元々は聖ウァレンティヌスの処刑日ですから、対となるような日というのはありませんでした。
しかし1978年、「バレンタイン=チョコ」という図式が成り立った頃のこと。福岡の菓子屋が菓子業界が暇な3月にマシュマロをお返しする文化を創ろうとしたことがキッカケとなって生まれました。
その後バブルの影響によって「3倍返し」という文化が生まれ、「高価なものをお返しする日」になっていきました。
今はだいぶ金額が下がってきていますが、女性が欲しいお返しには未だに「アクセサリ」や「ブランドグッズ」が上位につけていますね。
ちなみに日本で生まれた文化なので、海外ではホワイトデーが存在しない国の方が多いです。
婚約指輪は給料の3ヶ月分で、ダイヤモンドの指輪
バブルが弾けて以降は「給料の3ヶ月分」という文化は無くなってきましたが、婚約指輪に「ダイヤモンド」を外して考えられない人はまだまだ多いです。
「給料の3ヶ月分」というのは、1970年代に行われたマーケティングによるもの。ちなみに為替の影響もあり、アメリカでは「1ヶ月分」、ヨーロッパでは「2ヶ月分」、日本では「3ヶ月分」に置き換えられています。
これは南アフリカ共和国のダイヤモンド商であるデビアス社によるマーケティングです。同じようにダイヤモンドに対して「永遠と愛の象徴」というイメージを植えつけたのもデビアス社のマーケティング戦略です。
結果、婚約指輪や結婚指輪にダイヤモンドを選ぶ人が増えました。
土用の丑の日に「うなぎを食べる」
夏になったら土用の丑の日に「うなぎを食べる」という文化が当たり前のように根付いていますが、これもマーケティングによるもの。
時代は江戸にまで遡ります。「エレキテル」の開発などで教科書にも載っている平賀源内が、知人のうなぎ屋のために作った張り紙が元となっているそうです。(※諸説あり)
当時このコピーが大ヒット。以来、土用の丑の日にはうなぎを食べるようになりました。
土用の丑の日がどううなぎなのか、というのを調べてみたところ、こう書いてありました。
「丑の日にちなんで、“う”から始まる食べ物を食べると夏負けしない」
という風習があったそうです。
クリスマスにケンタッキーフライドチキン
元々クリスマスは家族と七面鳥を食べるという欧米の文化が、日本では「ケンタッキーフライドチキンを食べる」という文化に変化しています。
これは1970年代から始まった文化で、「クリスマスはケンタッキー」というキャッチコピーから生まれたものです。このマーケティングの成功によって、ケンタッキーフライドチキンがクリスマスにバカ売れするようになりました。
皆さんもクリスマスだからという理由でケンタッキーフライドチキンを食べたことが一度や二度はあるのではないでしょうか。
ちなみに「恋人と過ごすようになった理由」も調べてみたのですが、こちらは「さまざまな企業の思惑が合致した結果」のようです。プレゼントやデート代にお金を使ってもらって損をする企業が少なかったことも影響していると思われます。
マーケティングはこんなに身近に存在している
そもそもの理由を考えてみると、多くの行事は「誰かにお金を落としてもらうため」に作られているものです。
ポッキーの日なんかは商品名が付けられている非常に分かりやすい例ですが、初詣や土用の丑の日のような「当たり前」と思われているものも、紐解いてみるとマーケティングによって根付いた文化だったりします。
海外は分かりませんが、日本はマーケティングが発祥となったものは多いですね。年中行事の多くが、誰かが行ったマーケティングによるものですから。
僕が知っているのはこれぐらいですが、調べてみたらもっと沢山の「当たり前」がマーケティングによるものだと判明しそうですね。それぐらいマーケティングというのは身近なものだということです。
ちなみに「マーケティングは日本で生まれた」という説もあるようです。
皆さんもこれを機に「マーケティング」というものに興味を持ってみてはいかがでしょう。